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ゴーシェ病について

ゴーシェ病とは

監修:東京慈恵会医科大学 小児科学講座 教授 井田博幸先生

ゴーシェ病はライソゾーム病の一種

 ゴーシェ病は、細胞内にグルコセレブロシドという物質が過剰にたまってしまう病気です。1882年にフランス人医師のゴーシェ氏によって第1例が報告されたため、ゴーシェ病と名付けられました。
 グルコセレブロシドは細胞を構成する上で大切な物質であり、糖脂質の1つです。本来、過剰なグルコセレブロシドは細胞内のライソゾームでグルコセレブロシダーゼという酵素によってセラミドとグルコースへ分解され、細胞外に排出されますが、グルコセレブロシダーゼの設計図であるグルコセレブロシダーゼ遺伝子に変異があると、グルコセレブロシダーゼの働きが悪くなり、その結果グルコセレブロシドが分解されず、細胞内にたまってゴーシェ病となります。

 私たちの体の中には、体内の異物を食べて消化するマクロファージという細胞があります。ゴーシェ病の患者さんの体内では、全ての細胞でグルコセレブロシドが分解できず、細胞内にたまるので、マクロファージはグルコセレブロシドが大量にたまった細胞を取り込んで消化・分解しようとします。このグルコセレブロシドが大量にたまったマクロファージを「ゴーシェ細胞」と呼んでいます。ゴーシェ細胞は、主に肝臓や脾臓、骨髄に見られ、この細胞の確認がゴーシェ病の補助診断に用いられます。

ゴーシェ病の患者数は日本では約150人

 ゴーシェ病は非常にまれな病気で、欧米では、10万人に1人1)、日本では33万人に1人の割合で発症すると推定されています2)。日本では現在約150人の患者さんがゴーシェ病と診断されています。

ゴーシェ病では親から子へ「グルコセレブロシダーゼ遺伝子の変異」が伝わる

 ゴーシェ病は親から子に遺伝する病気です。ゴーシェ病を引き起こすグルコセレブロシダーゼ遺伝子は常染色体の1番にあります。常染色体は男性でも女性でも同様に存在しているので、ゴーシェ病を発症する確率は性別にかかわらず同じです。

 また、ゴーシェ病は、常染色体劣勢遺伝病です。したがって、母親と父親から受け継いだ2つのグルコセレブロシダーゼ遺伝子の両方に変化がある場合のみ発症します。そのため、グルコセレブロシダーゼ遺伝子の1つに変化があっても、もう1つのグルコセレブロシダーゼ遺伝子に変化がなければゴーシェ病の症状は現れません。このような状態の人を、保因者と呼び、ゴーシェ病では原則として父親と母親がともに保因者であり、お子さんがゴーシェ病となる確率は25%です。

ゴーシェ病では親から子へ「グルコセレブロシダーゼ遺伝子の変異」が伝わる

東京女子医科大学 附属遺伝子医療センター 遺伝子についてサイトより作図

文献
  • 1.Poorthuis BJ, et al. Hum Genet 1999; 105: 151-156.
  • 2.Owada MY, et al. Journal of the Japan Pediatric Society. 2000; 104: 717-722.